[ES→PU]太陽の輝く海へ その5:マドリッドの駅で詐欺にあう

サンミゲル市場でたらふく食ったあと、リスボンに向かうバスに乗るために駅に向かう。

駅の自動切符売り場のところに行くと、突然男性が話しかけてきて、どこに行くのかと聞いてきた。素直に駅名を言うと、素早い手つきでタッチパネルと操作し、僕に支払うように仕向ける。値段はカードの料金を含めて4ユーロほど。暗証番号を入力するが、なぜかうまくいかないとその男性がいい、となりの機械に行く。男性はまた素早い手つきでタッチパネルを操作し、支払おうと思いクレジットカードを入れ、暗証番号を入力するが、やはりうまくいかないといい、更に隣の機械にいく。三度男性がタッチパネルを使い、今度は紙幣で支払うことにした。

男性は僕が乗る電車を教えてくれ、僕は電車に向かう。親切な男性だったと思ったが、ちょっと疑問に思った。

クレジットカードの暗証番号を入力したあとで、エラーになるということはあるのだろうか。日常でもカードの刺し方が悪くてエラーになることは多々あるが、それはたいてい暗証番号を入力する前に知らせてくれる。

悪い予感がしたが、帰国した後にその予感が的中したことわかった。カードの明細を見ると、なんとチケット2つ分を買っていることになっている。つまり、ちゃんと変えていたのに、あの男性は買えなかったふりをして僕をとなりの機械に誘導したのだ。そのすきにおそらく男性はでてきたチケットを自分のものにしていたに違いない。わずか1000円ほどであるとは言え、やられたのは悔しい。

海外でそういう詐欺に合わない教訓は、とにかく話しかけてくる人から逃げることである。異国の地で、僕に用事がある人はまずいない。悲しいかな、それが現実なのである。僕もその教訓を知っているはずだったのだが、あまりにマドリッドの人が優しくてついつい油断してしまった。

しょうがない、彼に1000円寄付したと思うことにしよう。

電車でバスターミナルがある駅へ向かう。駅を出ると、郊外に来たようであたりは真っ暗である。どこに行けばいいか、キョロキョロしていると、前を歩いているおじさんが、「こっちだ」と声をかけてきた。先程の件もあり、少し警戒はしていたが、そのおじさんはキャンプ道具のようなものを持っており、旅行者の風体だったので安全だと思いそのおじさんについていく。念のためいつでも逃げられる距離を保って。

そのおじさんは実際にいい人で、一緒にバスターミナルへ行く人だった。基本的にマドリッドの人は優しい。

バスが出発するまで時間があったので、中のカフェでコーヒーを飲む。スペインはイタリアと同じく、コーヒーと言えばエスプレッソらしい。
金曜の夜から一切横になっていないので疲労困憊だが、あとはポルトガルに行くだけだ。

深夜バスはほとんど記憶にないが、人は少なかったように思える。