100分で名著 カミュ 『ペスト』

今回の100分で名著は興味があったのだが、内容が抽象的で難しい。自分なりの解釈がかなり入っているだろうけど、まとめてみる。

まず、カミュはこの世は「不条理」であると主張する。これはキリスト教・イスラム教的な考え方と対立する。

キリスト教的な考え方は、以下である。
この世は神が作り、人間は目的をもって作られ、この世の出来事はすべて理にかなっている。悪人は必ず排除され、善人は快い生涯を遂げる。たとえ人生中途で不幸があったとしても、それは神が与えたものであり必ず意味がある。

しかし、カミュやサルトルなど、実存主義の考えでは、「人生に目的はない」という考えが根本になっている。大震災や感染症などで、多くの命がなくなるのは、神が設定したのではなく、ただ自然の摂理として起こることなのである。たとえ善人であっても苦しんで死ぬこともあり、悪人でも幸せに暮らすことがある。

しかし、カミュはその世界を前提にしても、それでも悪には抗って生きることを選択する。つまり、自分自身がペスト側(人を傷つける側)になることを避け、自分や人に降りかかるペスト的なものをなるべく取り除くことを人生の糧とする。

そして、人間と連帯することで、不条理の世界からなんとか生きることができるのである。