(旅は、ウェブサイトにまとめてあります。)
アヤソフィア、ブルーモスクに行き、次はスレイマニエ・モスクまで歩いて行く。
途中有名なグランドバザールを通った。
スレイマニエ・モスクに到着した。
スレイマニエ・モスクは、アヤソフィア、ブルーモスクとともにイスタンブール歴史地区として世界遺産に登録されている。中心部にあるブルーモスクの方がポピュラーであるが、こちらのモスクのほうが大きく、イスタンブールでは最大のモスクである。
トルコがイスラム教国家になった時、元々キリスト教の教会であり、素晴らしい建築技術を持ったアヤソフィアを超えることが目標であった。そこで、トルコで最も有名な建築家ミマール・スィナンがスレイマニエ・モスクを建設した。
現役で使われているモスクなので、もちろん無料。靴を脱いで中に入る。中はブルーモスクとそれほど違いはわからない。
全面がお祈りをする人用で、後ろ側が観光客を含むすべての人用。僕がモスクの内部の写真を撮っていると、現地の人が声をかけてきた。首にカードをぶら下げており、このモスクを説明するボランティアの人だった。そこから僕は1時間ほど捕まり、イスラム講義を受けたのである。その講義を覚えている限り書いていく。
ファサードはあるのか
まず、モスクの建物には正面があるのかどうかを僕が聞いた。例えばキリスト教の教会ではファサードと言われ、建物の正面がわかる。ただ、モスクの写真を撮っていると、どこが一体正面なのか明確にわからなかったので聞いてみた。
答えは、建物の外観にはファサードというのは無いらしい。そもそも、モスク自体どのような形にするべきという決まりはないのだそうだ。もちろん地域によって似かよりはあるのだが、ミナレットが必要とかドームが必要などということはないらしい。実際に、スウェーデンのようなほぼキリスト教国家には、モスクはマンションの一部屋などということがよくあるそうだ。
ただ、モスクで唯一重要な点は清潔なこと。たしかに、ブルーモスクもこのスレイマニエ・モスクも、掃除機でカーペットを掃除している人がいた。
偶像崇拝の禁止
次に、偶像崇拝の禁止について。イスラム教は偶像崇拝を禁止しており、元々教会として使われていたアヤソフィアは、モスクになる時に壁などに書かれてあるキリストの絵などを全て塗りつぶしている。その理由について教えてもらった。
神というのは全ての創造者であり、人間の意識の外にある存在であるということ。例えば絵を描こうとすれば、必ず今までに見たものでなければ描くことが出来ない。神は人間の意識の外にいるので見たことがあるはずがなく、なので絵で描くことも像を掘ることも出来ないということなのだ。
神は存在する
僕は科学者なので、なるべく神を否定する考えがあるのだけど、最終的には論破できなかった。
まず科学的にはエネルギーと物質と言うのは同じものという根本がある。アインシュタインのE=mc2。例えば原爆などは爆発してエネルギーを放出したあとは少しだけ軽くなっているのである。もう1つはエネルギー保存の法則。エネルギーは物質になったり、あるいは熱や光にはなるのだけど形が変わるだけで消えることも増えることも無いということ。もう1つは、常に乱雑な方向に進むということ。エネルギーは一方向な運動から、ランダムな熱になる。だから時間も乱雑な方向に常に進む。つまり、時間には一方向に進んでいるのだから必ず始めがあるはずである。始め、そして始めの前を説明するには神の存在を認めないと説明ができない。
日本に地獄の概念はあるのか
今度はあちらがこちらに質問してきた。質問は日本に地獄という概念はあるのかということ地獄みたいな死後にとても悪い場所に行かれてしまうのを避けるため、人間は現世で善を振る舞うのである。だから、もし地獄の概念がない場合、悪いことし放題じゃないかと聞かれた。僕はその時うまく答えられず、死んだらみんな仏になると回答したが本当はどうなのか少しだけ調べてみた。
仏教の場合、死後に人間は三途の川を渡り、閻魔様などに裁きを受け、最終的に最も罪の重いものは地獄に落とされるらしい。キリスト教などと瓜二つである。神道の場合は勉強不足でそこまでわからなかったのだが、基本的には地獄という概念はないらしい。
ただし、そもそも日本は仏教と神道がうまくミックスされているので、日本の文化には地獄という概念はあるということでいいと思う。
これだけではなく、他にも色々と話した。周りにも観光客はたくさんいるのに、僕だけが捕まってしまい逃げることも出来ずに結局1時間ほど喋ってしまった。前日寝てない上に、暑いイスタンブールを歩き回った挙句、デリケートな宗教観について喋ったので疲れてしまい、モスクの外にある芝生でしばし寝た。
続く・・・