[TR→BF]ヨーロッパ東端から その7:イスタンブールで日本語を話す人

(旅は、ウェブサイトにまとめてあります。)

トルコは新日国家である。その理由の1つは、1890年にトルコの軍艦が和歌山県に座礁し、その時に村人が助けたかららしい。親日国家だからかどうかわからないが、イスタンブールの観光地では日本語で話しかけてくる人がいるというのをよく聞いていた。特にグランドバザールでは、日本語で客引きをして結局買わなかったら暴言を吐いてくるらしい。

僕は実際にローマのコロッセオで、「ホンダ〜、ナガトモ〜」と近づいてくる人に20ユーロとられた事があるので、僕に話しかける人にかなり警戒している。そもそも、異国の地で僕に用事がある人など絶対にいない。話しかけられたとしても立ち止まる必要はない。


実際にグランドバザールを歩いたが、前評判とは違い実際に日本語で話しかけてくる人は殆どいなかった。日本語に限らず、僕に客引きをしてくる人は殆どいなかった。そうなってくると幾分寂しい気にもなる。

次に話しかけられたのはアヤソフィアの前である。しかし、日本語ではなく英語で話しかけられた。タバコの火を持っているか聞かれ、持っていないと答えると「日本人か」と聞かれた。そうだと答えると、日本語は少し話せると言い、「ありがとう」「こんにちは」と言っていた。おそらく日本語で話しかける客引きの見習いの人なのだろう。失礼にならないようにその人から離れようと思い、「ちょっとここで水汲むから」と水道で立止まるとその人も止まり、また話しかけてくる。いい加減めんどくさくなり、完全に無視すると、「何で君は会話しないんだい?」と聞かれた。なぜ君と会話しないといけないか聞き返そうとしたが、その前に去っていった。


その彼が去り、ついに日本語で話しかけて来る人にあった。

「そんな熱そうに飲まなくても」

僕がしょっぱいヨーグルトを不味そうに飲んでいるのを見て彼はそういった。
僕が何も答えないでいると、流暢な日本語で「何かおみやげは買わないの?」と直球で質問してきた。僕は今までの旅でも一回もお土産を買ったことがないので、興味が無いと答えると「友達いないの?」と図星を突かれ、腹が立った。

その後も彼は話しかけ続け、僕が芳しくない反応をすると「なんか冷たいね」と言われた。たしかに僕の対応は冷たかったかもしれない。次にどこ行くの?と聞かれ、駅に行くと言うと、丁寧に案内してくれた。お金を要求してくるか、そのついでにお店に連れて行かれるかと思ったが、それで終わった。彼は実際に優しかった。冷たい対応をした僕はただの冷たい人間となったのである。