椎名誠 『メコン・黄金水道をゆく』

Kindle unlimitedをやめた。

Kindle unlimitedとは、月額980円で本が読み放題になるサービス。ただし、特定の本だけ。僕が解約したのは単純に読みたい本がなかったから。月額でお金を払うぐらいなら読みたい本を一個ずつ買ったほうがいいと思ったからである。

Kindle unlimitedをやめ、早速本を買うことにした。最初の本の著者は椎名誠と決めていた。

僕が一番好きな作家は何人かいるけど、圧倒的に一位は椎名誠である。日本にいたときは、必ず図書館で一冊は椎名誠の本を借りていた。本は僕にとって癒やしなのだが、椎名誠の本は癒やしを通り越して精神安定剤のような存在になっていた。冬の北欧でビタミンD不足になるように、僕は椎名誠不足になっていたのである。

数百冊ある椎名誠の本の中で、僕が選んだのは『メコン・黄金水道をゆく』である。
45日かけ、メコンを下りながら現地の人の生活を書いた紀行文。椎名誠はコラム、小説も書いているが僕は圧倒的に彼の紀行文が好きなのである。

もちろんこの本は読んだことがあるのだが、改めて読むとほとんど内容を忘れており、新鮮に読むことが出来た。しかし、ところどころ覚えているところもあった。

その1つは、カエルの件である。ベトナムのメコンデルタでは、様々なものが売られている。そこでカエルを売っている女性がおり、その女性が往きたカエルの背中を5cmほどナイフで切り、指を入れてきれいに皮を剥がす。皮を剥がされたカエルはまだ生きており、「あれま!!」という顔をしながらぴょんぴょん跳ねるのである。そのカエルはかごに入れられ、そのかごには皮を剥がされたカエルが、みんな「あれま!!」という顔をしてぴょんぴょんはねているそうだ。

椎名誠の紀行文は、「怪しい探検隊」もしくは「東日本何でもケトばす会」と呼ばれる旅仲間と一緒のことも多く、なかなか面白おかしく書かれてある事が多いのだけど、この『メコン・黄金水道をゆく』は、おそらく同行しているのは通訳の人だけで、文章も比較的淡々と書かれている。

この本を読んだ時、僕は彼に憧れていることを改めて思い出した。旅をし、その出来事を本に書いて収入を得る。僕もそういう生活がしたいと思っていた。僕が旅好きで、今も頻繁に旅に出ているのも椎名誠の影響であり、今でも椎名誠のような生活をしたいと願うようになった。