『大泉エッセイ 僕が綴った16年』

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 大泉洋さんのエッセイ集。図書館でたまたま見かけたから借りてみた。正直初期の文章はかなり素人感があり面白くなかったが、後半はちゃんとしたエッセイストのエッセイになっていた。

大泉洋さんといえばやっぱり「水曜どうでしょう」。この番組が好きで大泉さんが嫌いな人はいないと思う。僕が初めてどうでしょうをみたのは、船の中。アルバイトで一か月研究船に乗船していたことがあった。パラオから出発し、太平洋を回って機器を回収する。僕はアルバイトなので一番等級が低い部屋で2段ベッドだったんだけど人が少なかったから一人で泊まっていた。テレビがあったが、もちろん太平洋に出ている間は何も映らない。日本に帰ってきたとき、日本列島が見えた後にテレビをつけたらそのテレビが映ったのである。そこでたまたま移ったのが水曜どうでしょう。その時は北欧ドライブの旅で、どうでしょうでは有名な「ここをキャンプ地とする」という場面。大泉さんは車で寝るのだが、半ズボンしかもってなく、王子様のコスプレをして朝まで眠れずに過ごした場面だった。そのときに「これがどうでしょうか」と思ったが、ただの内輪で盛り上がっているように見えてすぐに消してしまった。

本格的に水曜どうでしょうを見たのは、2011年に青年海外協力隊でタンザニアに行ったとき。持って行った、というか先輩隊員や動機隊員がくれた動画の中に水曜どうでしょうが入っていた。なんとなく再生して、最初はあまり面白いとは思わなかったが、どんどんはまっていき、毎日のたのしみになっていった。終わりが分かっているので、一日一話大切に見ていた。たまにストレスが溜まった日などは一日2話見ることがあって、ダイエット中にのむコーラのような背徳感があった。

大泉さんのエッセイの半分ほどは旅の話。大泉さんが旅好きで良かった。どうでしょうは旅番組だけど、あれはほとんど大泉さんの罰ゲームのような感じだから旅が好きなのかどうかよくわからなかった。 あと、いつもふざけているようで、信念のある人なんだと思った。あくまで北海道を拠点とするローカルタレントであると同時に、シリアスな役者でもいたいという大泉さんの信念が書かれてあって、実際にそんな存在になっていると思う。

また水曜どうでしょうでサイコロの旅をやってほしいな。でも、大泉さんをはじめ、あの番組自体がかなり有名になったからもう無理だろうな。大切な人を亡くしたあと、もうもとには絶対に戻れないとわかる寂しさがある。


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