マズローの欲求5段階 #学ぶ
# 現代ではどのような批判がありますか
- 階層構造の硬直性: 欲求が必ずしも段階的に現れるわけではない、という指摘があります。例えば、飢餓状態にあっても社会的な欲求や自己実現の欲求が全くなくなるわけではありません。また、文化や個人の価値観によって、欲求の優先順位は大きく異なると考えられています。
- 実証的根拠の不足: マズローの理論は、必ずしも厳密な科学的検証に基づいているとは言えません。彼の研究対象は、自己実現を達成したとされる少数の人物であり、普遍的な理論として一般化するには限界があるという意見もあります。
- 自己実現の定義の曖昧さ: 「自己実現」という概念自体が曖昧で、定義が難しいという批判があります。また、自己実現を最上位の欲求とする考え方は、西洋的な個人主義的な価値観に基づいているという指摘もあります。
現代心理学では、より柔軟な視点から人間の欲求を捉える理論が提唱されています。例えば、自己決定理論は、自律性、有能感、関係性という3つの基本的な心理的欲求を重視し、これらの欲求が満たされることが幸福感やwell-being に繋がると考えます。
# 自己決定理論とはなんですか
自己決定理論は、人間の自律性 (Autonomy)、有能感 (Competence)、関係性 (Relatedness) という3つの基本的な心理的欲求に着目する理論です。
- 自律性 (Autonomy): 自分の行動や選択を自分で決定したい、主体的に行動したいという欲求。
- 有能感 (Competence): 何かを成し遂げたい、能力を発揮したい、熟達したいという欲求。
- 関係性 (Relatedness): 他者と良好な関係を築きたい、繋がりたい、大切にされたいという欲求。
自己決定理論では、これらの3つの欲求が満たされることが、人間の内発的動機づけ (Intrinsic Motivation) を高め、心理的な幸福感や成長につながると考えます。 内発的動機づけとは、報酬や外部からの強制ではなく、興味や関心、楽しさから自発的に行動することを指します。
# マズローの5段階欲求説と、自己決定理論の違い