本『私が捨てた女』

遠藤周作。吉岡という寂れた男子大学生が、雑誌で出会いを募集していた女、森田ミツと会う。その女は男性に慣れておらず、半ば無理やり吉岡に性交をする。その後吉岡から連絡が来ることがなかった。

吉岡は会社の社長令嬢と付き合い、その後結婚することとなる。その社長令嬢はほんの一瞬だけ森田ミツがいた職場で働いていた。吉岡はそれを知り、森田ミツの居場所を突き止めた。

吉岡は森田ミツと会ったが、森田は吉岡をもう会えないと行った。その時、森田はハンセン病の病院に行くこととがわかっていたからである。ハンセン病の病院は隔離されており、そこに入ったものは出ることはできない。森田は絶望しながらその病院に行くことになる。

森田が病院で数日過ごしていると、医師から呼び出された。なんと、ハンセン病ではないとのことだった。森田は街に戻ろうとするが、駅で病院に引き返し、今度はそこで世話をするものとして働くことになった。

それを知らない吉岡は、病院に年賀状を書いた。返事が来たがそれは森田ではなく、そこで働く修道女からだった。森田は病人ではなく、働き手として病院にいると。しかし、交通事故で亡くなってしまったらしい。最後に言った言葉が「さいなら、吉岡さん」という言葉だったそうだ。