梅棹忠夫 『知的生産の技術』のカードの整理に関する批判

梅棹忠夫氏は『知的生産の技術』の中で、整理とは「必要なものが必要なときにすぐとりだせるようになっている」状態であると書いている。

ここで、『知的生産の技術』でカードをどのように整理しているかをまとめていく。梅棹忠夫氏は、はじめはカードを紐でくくったり、袋の中に入れて整理をしていたそうだが、これでは保存ができるが再度使用するのが面倒くさい。そこで最終的には、垂直ファイル(バーチカルファイル)にカードを入れることにした。バーチカルファイルというのは、厚紙を二つ折りにしたものであり、パソコンのフォルダアイコンのモデルにもなっている。バーチカルファイルに、カードを入れ、バーチカルファイルの耳の部分に分類項目を記入する。そしてそのバーチカルファイルをキャビネットに入れていくのである。バーチカルファイルであればかさばらないので、たしかに整理はしやすい。カードを取り出すときも紐や袋よりもはるかに簡単だ。

分類をどうするかについても書かれてある。梅棹氏は分類についてこう書いている。

「徹底的に細分化しなければ、実際には役に立たない。細分化を進めていくと、けっきょくは固有名詞が単位になってしまう。それでよいのである。」

つまり学会名や個人名などを使って分類をしているそうである。

しかし、この方法は実際にはうまく行かない。第一に、どちらの分類にも含むことができるカードができてしまう。例えば個人名で分類したときに、カードに二人の人物に関するカードではどちらのフォルダに入れるかわからなくなってしまう。さらに、カードを作るたびに新しい項目を作るべきか、既存のフォルダに入れるべきかを迷ってしまう。一つのフォルダに一つのカードしか入っていなければもはや分類する意味はないし、かといってあまり関連性のない場所に入れたとしたら探せなくなってしまう。

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