無限キャンバスは使いにくいという風潮になるかもしれない
MicrosoftがMicrosoft Journalというアプリを作った。
https://apps.microsoft.com/store/detail/microsoft-ジャーナル/9N318R854RHH?hl=ja-jp&gl=jp
このアプリはWindowsの、特にペンを使用するパソコンでの使用を意図しているものである。紙にペンで文字を書くのと同様に、ページキャンバスというところにペンで何かを書いていく感じである。
Microsoftは2003年からOneNoteというノートのようなアプリを提供しており、OneNoteではペンで文字を書けるのはもちろんだが、ページ自体に大きさの制限がなく、右あるいは下方向にほぼ無限に伸ばしていける。いわゆる無限キャンバスである。
大きさの制約がある紙に比べ、オンライン上のページには大きさを自由に変更できるという強みがあるが、今回のJournalはあえて紙の大きさという制限を設けている。もともとOneNoteという無限キャンパスアプリがあるにも関わらず、Journalを開発したということは、私は「無限キャンバスは終焉する」という徴候であると考えている。
実際、私は今年に入って情報の一元化を図るためにOneNoteを使い始めていた。
無限キャンバスで脳が拡張される気持ちよさを体験したのだが、結局OneNoteは使わないことにした。最大の欠点は、ページに手書きをしすぎると同期ができないところにあった。
OneNoteをしばらく使っていて、欠点がありながら気に入ろうとしたのだけどかなり致命的な欠点を見つけてしまった。それは、「手書きが多いページが同期されない」ということである。
たしかに、ペンで書くということは画像を増やしていくということであり、一度に表示する画像を増やすとかなりメモリに負荷がかかるのかもしれない。しかし、その問題はハイスペックのパソコンを用いれば解決できる。私はそれ以外にも無限キャンバスの欠点というのがあるのだと思っている。それは、「紙に印刷しにくい」という問題である。
情報をアウトプットするのは、情報を保存するためである。デジタル保存というのはかさばらずに非常に便利な情報の保存方法なのだが、実態がないがゆえに、思わぬところで消えてしまったりする。しかもGoogle driveのようなサービスに依存していると、その企業が潰れたときにどうするか不安になっておちおちサービスを使っていられない。一方紙であれば、存在していることはすぐに分かるし、どこかの企業が潰れたとしても全く問題がない。例えばある出版社から出版された本を買うと、その出版社が潰れたとしてもその本は手元に残る。しかし、電子書籍だとその電子書籍を提供しているところがサービスをやめてしまうと、使えなくなってしまう可能性があるのだ。
だから、いざとなったら紙で印刷できますよという逃げ道があると、安心してデジタルで保存できる。例えばMicrosoft wordとかGoogle documentは簡単に印刷できる。一方無限キャンバスはそれができない。できたとしてもかなり小さな文字になるかもしれないし、そもそも殆どの無限キャンバスは印刷もPDF化もできない。OneNoteで広くページを使ったときにはPDF化はエラーになってしまう。ということで、結局は紙という制約を抜けるとみんな使わなくなってしまうのではないかと思っている。
その点Google keepは非常に優秀である。Google keepの手書きも、無限キャンバスであるが、縦方向のみの無限キャンバスである。これなら、Google documentに簡単に貼り付けることができる。実際にウェブサイトでも多くは縦方向の無限キャンバスだが、横方向に広いサイトは殆ど無い。結局みんな紙という制約から抜け出せてないのだ。
ということで、今回のMicrosoft Jornalの登場は無限キャンバスが衰退する徴候だと思っている。