小学校からの親友と会ってきた

土曜日の夜、大阪駅で友人と会ってきた。僕の数少ない友人であり、本当に数少ない親友と呼べる存在である。彼と会ったのは小学校2年の頃。僕が通う小学校に転校してきたのである。彼の家は僕の家と近く、僕の住んでいた家の周りには同級生がいなかったのでうれしかった。その時から今まで緩くだが付き合いがあるのは貴重だ。

彼は約10年前から大阪に住んでいる。この度僕が大阪に住むことになったので、まず彼に連絡した。しかし、実際に彼と会うまでに一ヶ月ほどかかった。連絡しても全く彼から返信が来ないのである。いくら連絡しても返事が来ないので、もう会えることはないのかと思ったが、土曜の夕方にようやく連絡が来て。その日の夜に大阪駅であることになったのである。

彼と会うのはおそらく三年ぶりだが、外見はそこまで変わっていない。彼も僕を見てすぐ気づいたから、おそらく僕も外見はそこまで変わっていない(と思いたい)。早速何処かへ食事に行くことにした。はじめはお好み焼きの予定だったが、梅田のダンジョンの中から抜けることができずに、さまよっているうちに疲れてしまい、近くにあったスンドゥブ屋に入った。先客は一組のみで、店員は暇なのだろうか、椅子に座っていて僕らが入ったときに立って接客をしてきた。

彼は早速スマホでその店を調べ、クーポンを出してきた。僕はスマホを持っていないのでそういう習慣はないのだが、以前も違う友人と新宿で食事をしたときにクーポンを探していたので、それは一般的な行為なのかもしれない。

それぞれの食事が来て、それぞれの近況報告をした。環境が変わったのは僕の方なのでまずは僕から。どんな会社に就職したか、どこに住んでいるか、などなど。次に彼の話を聞いた。会社は変わっていないのだが、かなり今の会社に不満を持っているらしく、今は転職活動をしているらしい。現在日本は後継機で、有効求人倍率も1倍を超えている。つまり会社にとっては人手不足なのだ。さらに、人は大抵
待遇の良い大企業に行く傾向になり、中小企業はさらに人手不足となるらしい。彼の努めている会社は、大企業の子会社であり深刻な人手不足に陥っているらしい。彼のチームは五人だったのだが、そのうちの後輩4人がやめてしまい、今は一人で5人分の仕事をしているそうだ。そのせいで、連日帰宅が深夜0時を超えているらしい。会社から彼の家まで一時間かかるので、単純計算で帰宅は深夜一時になる。そこから寝るまで一時間はかかるだろうから、寝るのは2時。毎朝六時には起きているらしいので睡眠時間は4時間ほどしかない。

彼は結婚しており、小さな子供がいる。スマホにはその子の写真ばかりだったから、おそらく溺愛しているだろう。他人の僕ですら、写真を見て可愛いと思える子供だった。深夜一時に帰っていては、おそらく子供と触れ合う時間は殆ど無いだろう。彼は今の現状を語りながら、少し涙ぐんでいた。

しかし、その家族も転職を難しくさせる要因の一つになっているらしい。奥さんには今の収入より低いところには行くなと、念を押されているそうだ。それは一般の家庭であれば、当然の要求かもしれない。しかし、家族のいない僕にとっては、家族を持っていることの羨ましさと、足かせの両方が感じられた。

食事を終え、カフェに移動した。僕も彼も酒を全く飲めない。食事の際の重い空気を少し引きずっていた。彼は「何がしたいのかわからない」と言っていた。少し前の僕も全く同じ悩みを抱えていた。その悩みは完全に解決したわけではないのだが、僕なりの答えは少し出ている。何をしたいか、人生の目的など絶対にわからない。それは人間が目的をもって生まれたわけではないからである。それは自ら設定するのだが、自分自身そして環境が変わっていく中で自分の価値観も変わっていき、人生の目的などすんなり決まらない。だから、今やりたいことをとにかくやること。あとやりたいことよりもやりたくないことを決めていったほうが簡単であるということである。