中国温泉巡り

年末の3連休、本当は実家の山口に帰ろうとしたのだが拒否された。故郷に帰れないというのは悲しいが、それならと、山口周辺の中国地方を旅してみることにした。行く場所は広島、島根、鳥取。目的は温泉に入ることである。交通手段は青春18きっぷを使って鈍行で行く。

僕は今33歳だが、まさかこの年になっても青春18きっぷを使うとは思わなかった。学生の頃は金銭的な理由で新幹線など使えなかったわけだが、今は新幹線のきっぷを買えないわけではない。それでもあえて僕が安いきっぷを使うのは、旅に対する価値観が学生の頃から変わらないからだと思う。

旅というのは基本的に、移動であると思っている。現地で何をするかというよりも、そこまで行く道中が旅の本体であり、目的地というのはただ移動するための口実でしかない。

しかも移動手段はなるべく安く、遅いほうがいい。その場に住んでいる人が日常的に使っている乗り物を使ってこそ旅の醍醐味なのだ。

朝の十時に大阪から西へ向かう。一時間ほどで姫路に到着し、そこで一旦降りることにした。駅を降りると真っ直ぐに大通りが伸びて折り、その先に姫路城が見える。姫路城まで歩き、城の写真を撮っているとなんとカメラのバッテリーがなくなってしまった。昨日の夜に充電していたのだが、充電器とバッテリーの接触が悪かったらしく充電ができてなかったのだ。荷物を減らすために一つしかバッテリーを持ってきてなかったので、これ以降は一切カメラを使えない。僕は旅に出ると一日500枚ほど写真を撮るのでカメラがなくなると寂しいが、たまには何も撮らない旅もいいだろう。

姫路城から駅に戻る途中にそばと穴子丼を食べ、また西に向かう。相生で岡山行きの電車に乗り、岡山駅できびだんごを買い、山陽本線をなぞっていく。広島に到着することには外が真っ暗になっていた。

広島で、高校の同級生と会った。彼と会うのは10年ぶりぐらいかもしれない。僕も彼もお互いに変わってないと言いながら、心の中は10年前とは全く変わっているのだろうなと思った。お互いそこまで酒は強くないが、客のいない居酒屋で飯と酒を少し食い、別れた。

僕はそこから平和公園近くにあるゲストハウスに向かう。平和大通りはイルミネーションで眩しい。広島駅から歩いて30分ほどだが疲れていたため遠く感じた。ゲストハウスに到着し、荷物をおろしてまた平和大通りを駅方面に戻っていく。大通りの少し外れに音戸温泉というところがある。見た目は銭湯だが湯は立派な温泉らしい。無愛想な番頭にチケットを渡して湯に入る。

また平和大通りを通りゲストハウスに戻る。冬至だというのに暖かく、湯に入ったあとなので歩いていると汗をかく。ゲストハウスに戻ると外国人たちが卓球をしていた。寝るには少し早いが、明日も早いため、早々と寝ることにした。