ボスとの面接


雨が降っている。最悪な北欧の冬に確実に近づいていく。


ボスと個人面談を行った。月に一度程度の定期ミーティング。僕がボスの部屋に入るなり、「君はこのプロジェクトに満足していないのか?」と言われた。

実は、そのことは僕がまさにボスに言おうとしていたことである。僕が何も言わないうちにボスの方から言ってきたことで驚いた。

僕はこのブログで愚痴を言っているように、現在の仕事に全く満足していない。僕はいま3人程度のチームで1つのプロジェクトをしているが、興味が無いだけではなく、僕の能力がないせいで僕が10時間かかるところを他の同僚は1時間でやってしまう。だから、僕の存在価値があるのか常に思っていた。

膨大な金と時間を無駄にして博士号を取ったのに、今やっていることはバイト程度の仕事。もし業績が出たとしても僕はファーストオーサーになれない。そんな状況が僕にフラストレーションをもたらしていた。しかし、そのストレスを払拭できるほどの能力はない。そのストレスから脱却するためには、自分でプロジェクトを立ち上げ、自分の研究をすることだけだ。僕は、何か自分で研究がしたいと今回のミーティングで言うつもりだった。

ボスの方から僕が言いたかったことを言ってくれたことで、楽になった反面悲しくなったことがある。僕が何も言わなかったのにボスが気づいたということは、僕が明らかにやる気がなさそうだったのが、傍から見てわかっていたということだ。僕はまさにスウェーデンに来てからずっと悩んでいた。もっと早く告白するべきだったが、その勇気もなかった。

僕が日本で学生だった頃、僕と同じようにアメリカで働いて戻ってきた先輩に会った。その先輩は「アメリカ辛いんですよ。」と冗談ではなく言い、結局途中で日本に帰ってきた。正直僕はその時の先輩を見下していたが、僕はまさに今その状況にある。海外が問題ではなく、主体的に動けない仕事にフラストレーションがたまっている。

僕は一体どうすればいいのか。僕の人生はまだまだ決まらない。