最後の旅 キシナウ到着

前回の記事でうるさいといったおじさんはその後も小声で喋り続けていた。僕が乗っている個室は僕とそのおじさん二人の他に、若い男性が一人。その男性もおじさんたちの会話がうるさいと思っているらしく、廊下にずっといた。

僕も廊下に出てみる。声を発しているのは僕が乗っている個室しかない。それもそのはずだ。他の個室はみんな一人しかいないか、空室だからだ。一体なぜ僕の個室だけ4人部屋なのだ。

まぁうるさかったがそれでも夜の九時には消灯してみんな寝た。寝台列車はウキウキするがブレーキが激しくてそのたびに起きてしまう。起きると今度はおじさんたちのいびきがうるさくて眠れない。寝てもうるさい方たちだ。

深夜4時頃、国境に到着した。乗務員がノックをし、電気をつける。その後パスポートを回収してスタンプを押して少し移動する。今度はモルドバの入国。機械を持った女性2人が車両に入ってきてその場でスタンプを押していく。

その後に軽い荷物チェックがあった。現地の言葉でよくわからないが、日本人ということを言っていたのはわかった。ここらへんの人たちはなぜか僕の顔を見て日本人だとすぐにわかるみたいだ。

モルドバは小さな国なのでこのまま行くとかなり早くキシナウに到着すると思ったが、途中しばらく鉄道は停車していた。時間調整のためだろう。そして9時半、予定通りにキシナウに到着した。気温は一気に下がり、持っているライトダウンを着てもまだ寒い。