最後の旅 キエフへ向かう

キシナウの駅は夜の7時でも真っ暗だ。節電のためなのだろうか。駅の中には少ないながらも椅子がおいてあり、人が静かに座っている。

僕も鉄道が来るまで椅子に座ってい待っていた。隣に座っていた女性が僕に話しかけてきた。タバコを吸いに行くから荷物を見ていてほしいということだった。構わないと僕はいい、女性は外に出ていった。

しかし、一時間経っても女性は帰ってこない。鉄道の出発時間が迫っているので困ったが、流石に女性の荷物を見るために鉄道に乗り遅れるわけには行かないのでそこをあとにして鉄道に向かった。女性のかばんを覗いてみると、それはかばんというかビニール袋で、中にはペットボトルがいくつか入っていた。こんなものおいていても誰も取らないだろう。

プラットフォームに行くと、もうすでに鉄道は到着していた。タブレットに入れていたpdfを見せるとかかりの人が席まで連れてってくれた。鉄道は電気がついておらず、暗くて寒い。よく見てみると数人がすでに寝ていた。

午後九時19分、定刻に出発した。この鉄道も寝台車だが、個室ではなく、4人席と2人席に分かれている。僕は2人席を予約していたので、進行方向に向かって横ではなく縦で寝ることになる。はじめはこちらのほうがいいかと思ったが、横を人が通るので、隣の4人席に映った。この日の乗客率は10%で、ガラガラだ。静かかと思ったが、斜め隣のおじさんがひっきりなしに咳をしていてうるさい。今回の旅は席運に恵まれていない。

次の日の午前7時頃になり国境に到着した。外はわずかに明るくなっている。モルドバは小さい国なのでもっと早く国境に来るかと思ったが思ったよりも時間がかかった。係の人が車両に入ってきてパスポートをチェックする。現地の言葉で話しかけられるが、意味がわからない。あちらも英語を喋らないので、無視しているとパスポートにスタンプを押して去っていった。